外国人の転職時に必要な“14日以内の届出”完全ガイド
中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。
2026年(令和8年)を迎え、深刻な労働力不足を背景に、他社で経験を積んだ外国籍の方を即戦力として採用する「転職者採用」が一般化しています。一方で、行政手続きのデジタル化は劇的な進化を遂げました。**2026年1月1日に施行された「改正行政書士法」**により、私たち行政書士は情報通信技術(ICT)を最大限に活用し、皆さまの利便性を向上させ、業務の改善進歩を図る努力義務を負っています。
外国人の中途採用において、経営者が最も注意を払うのは「在留資格(ビザ)の変更が必要か」という点でしょう。しかし、資格の変更が不要な転職であっても、見落とすと本人と企業の双方に深刻なリスクをもたらす**「14日以内の届出」**が存在することをご存じでしょうか。
今回は、実務で極めて重要な**「契約機関に関する届出(14日ルール)」**について、専門家の視点から徹底解説します。
--------------------------------------------------------------------------------
1. 「14日届出(契約機関に関する届出)」とは何か
この制度の正式名称は、入管法第19条の16に規定される**「契約機関に関する届出」**です。
中長期在留者が日本で行っている活動状況を、出入国在留管理庁(入管)が正確かつ継続的に把握することを目的としています。
- 誰が提出するのか: 原則として、外国人本人が提出します。
- どこに提出するのか: 出入国在留管理局へ提出します(窓口持参、郵送、またはインターネットによる電子届出)。
- なぜ必要なのか: 在留資格の基礎となっている「所属会社との契約関係」に変更があったことを、速やかに入管へ知らせる義務があるためです。
2. どんなときに届出が必要か(具体的なケース)
転職だけでなく、所属する会社に一定の変化があった場合にも届出義務が生じます。
- 転職したとき: 新しい会社と契約を締結したとき。
- 退職したとき: 前の会社との契約が終了したとき。
- 会社側の変更: 勤務先の名称が変わった、所在地が変わった、あるいは会社が消滅(合併等)したとき。
- 派遣形態の場合: 「技術・人文知識・国際業務」などで派遣社員として働く場合、派遣元との契約締結・終了だけでなく、個々の派遣先で稼働を開始・終了した日についても届出義務が生じる場合があります。
特に注意が必要なのは、2026年(令和8年)3月9日から運用が開始された派遣形態での厳格化です。派遣先が確定していることが許可の前提となり、派遣先での活動実態まで厳しく精査されるようになっています。
3. 提出期限とルールの鉄則
この届出には、非常にタイトな期限が設定されています。
- 原則14日以内: 転職(契約締結)や退職(契約終了)などの事由が生じた日から、14日以内に届け出なければなりません。
- 起算日の考え方: 原則として、契約の効力が発生した日や、実際に離職した日が起点となります。
- 遅れた場合の扱い: 期限を過ぎても受け付けはされますが、入管の窓口で遅延理由について指導を受けたり、記録として残されたりすることになります。
4. 届出をしない場合の深刻なリスク
「本人が出すものだから会社は関係ない」と考えるのは危険です。届出漏れは、結果として企業の経営に跳ね返ってきます。
① 在留期間更新への悪影響
届出義務を適正に履行していない場合、次回の在留期間更新の際に、本来「3年」や「5年」出るはずの期間が「1年」に短縮されたり、最悪の場合は不許可になったりする原因となります。
② 永住申請への致命的なダメージ
**2026年2月24日に改訂された最新の「永住許可に関するガイドライン」では、納税や年金などの公的義務に加え、「入管法に定める届出義務を適正に履行していること」**が厳格な審査項目として明記されました。優秀な社員の将来を奪いかねないミスとなります。
③ 企業側の管理責任と信用低下
所属する社員が法令違反(届出不履行)の状態にあることを放置している企業は、入管からの信用を失います。これは、将来的に他の外国人を呼び寄せる際の審査や、特定技能の受入れ要件においてマイナスの評価を受ける間接的な経営リスクとなります。
5. 実務でよくあるNG事例
行政書士として現場を見る中で、特に多いミスを挙げます。
- 「転職時に在留資格の変更をしていないから、届出も不要」という誤解: 「技術・人文知識・国際業務」の資格のまま同職種へ転職する場合、ビザの変更申請は不要ですが、届出は必須です。
- 本人任せで完了を確認しない: 多くの外国人がこの制度を正しく理解していません。入社時に会社が確認しないまま、数ヶ月、数年が経過してしまうケースが後を絶ちません。
- 転職後に「落ち着いたらまとめて出そう」として忘れる: 退職と入社をセットで出そうとし、起算日がずれて14日を超えてしまうケースです。
6. 企業が取るべき実務的な対応策
コンプライアンスを強化するため、以下のフローを社内ルールに組み込んでください。
- 採用時の必須確認項目にする: 中途採用者の入社手続きの際、前職の「退職届出」と、自社の「採用届出」を完了したか、オンラインの完了画面や受領印のある控えの提示を求めます。
- 電子届出システム(I-ENS)の活用を促す: インターネットで24時間いつでも提出可能な「出入国在留管理庁電子届出システム」の利用を本人に勧めましょう。
- ICT対応の専門家を活用する: 2026年の改正法に基づき、私たち行政書士は最新のICT技術を駆使して、皆さまのオンライン手続きをトータルでサポート可能です。
--------------------------------------------------------------------------------
まとめ:正確な届出が「企業の信頼」を支える
14日以内の届出は、一見すると小さな事務手続きに思えるかもしれません。しかし、現在の入管審査において、こうした基本的な届出の履行状況は、**「その外国人が、そしてその企業が、ルールを尊重しているか」**を測る極めて重要な指標となっています。
転職者を採用した際には、必ず「14日届出」の完了までを見届けてください。
当事務所では、最新の法改正に基づき、外国人雇用のコンプライアンス診断や、ICTをフル活用した迅速な申請サポートを行っております。「このケースは届出が必要?」「管理体制をデジタル化したい」といったお悩みをお持ちの経営者さまは、ぜひ当事務所へご相談ください。皆さまの安心・健全な経営を全力でバックアップいたします。

