在留カードの“偽造”見抜けますか?
中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。
2026年(令和8年)を迎え、深刻な人手不足を背景に、多くの現場で外国籍の社員が不可欠な戦力となっています。一方で、行政手続きのデジタル化は劇的な進化を遂げました。**2026年1月1日に施行された「改正行政書士法」**においても、私たち行政書士は、情報通信技術(ICT)の活用などを通じて皆さまの利便性を向上させ、業務の改善進歩を図るよう努めることが職責として明記されました。
デジタル化により手続きが便利になった現在でも、外国人雇用の現場で最も重要、かつ経営者が決して手を抜いてはならない「アナログな確認」があります。それが、**採用時における「在留カードの原本確認」**です。
近年、非常に精巧な偽造カードが流通しており、知らずに雇用したことで企業が存続の危機にさらされるケースも少なくありません。今回は、プロの視点から、偽造カードの正体と、原本確認で見るべき3つのポイントを徹底解説します。
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1. なぜ「コピー確認」だけでは危険なのか
採用の際、本人から送られてきたPDFデータやスマートフォンの写真、あるいは面接時に持参したコピーだけで確認を済ませていませんか? 実は、これには重大な経営リスクが潜んでいます。
精巧な偽造カードの存在
現在の偽造技術は非常に高く、券面の印字やレイアウトを模倣したカードが実在します。画像データや紙のコピーでは、カード特有のセキュリティ機能(ホログラムの輝きや凹凸など)を判別することは不可能です。
企業の「過失」と不法就労助長罪
もし偽造カードと知らずに外国人を雇用してしまった場合、雇用主は出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2に基づく**「不法就労助長罪」**に問われる可能性があります。
罰則:3年以下の拘禁刑、若しくは300万円以下の罰金、またはその併科。
この法律の恐ろしい点は、雇用主が「偽造だとは知らなかった」と主張しても、原本の確認を怠るなどの「過失」があれば処罰を免れないという点にあります。適切な確認を行っていない場合、企業側の管理体制自体が問題視される可能性があります。 また、法人としての責任が問われるリスクもあります。
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2. 原本確認で見るべき3つの重要ポイント
偽造リスクを最小限に抑えるため、採用時には必ず本人の目の前で以下の3点を確認してください。
① ホログラムの視覚的確認
在留カードの表面には、偽造防止のためのホログラムが施されています。カードを上下左右に傾けた際に、文字の色が変化したり、図柄が浮き出たりするかを確認します。偽造カードの多くは、この光の反射や色の変化を完全に再現できていません。
② ICチップの有無(外観・仕様の確認)
在留カードにはICチップが内蔵されていますが、外見から明確に触知できるものではありません。券面の作りに不自然な厚みや印字の粗さ、加工の違和感がないかを確認し、不審点があれば番号照会で裏付けを取ることが重要です。
③ 「在留カード等番号失効情報照会」の活用(最重要)
目視での確認に加え、2026年の実務において不可欠なのが、デジタルの力を活用した公的な確認です。出入国在留管理庁は、WEBページ上で**「在留カード等番号失効情報照会」**システムを提供しています。
方法:カードに記載された「番号」と「有効期限」を入力
効果:そのカードが現在有効であるか、または失効しているかを即時確認可能
この確認結果を保存しておくことは、企業の適正な確認義務を果たした重要な証拠となります。
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3. 実務でよくある「NG対応」と落とし穴
行政書士として現場を見る中で、特によく見られるミスを整理します。
・カードの裏面を見ない
・コピーだけで採用を決める
・照会を行っていない
・採用を急いでいて確認を後回しにした
また、表面だけで安心するのは危険です。裏面には「資格外活動許可」や「在留期間更新許可申請中」の情報など、現在の正確なステータスが記載されています。
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4. 信頼を築くための「正しい実務フロー」
確実な雇用のために、以下のフローを社内のルーティンとして確立しましょう。
・面接時に必ず原本を持参させる
・その場で番号照会を行う
・確認記録(エビデンス)を保存する
さらに、転職者の業務内容に不安がある場合は、「就労資格証明書」の取得により、当局の判断を事前に確認することも有効です。
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まとめ:正確な確認が「企業の未来」を守ります
外国人雇用における在留カードの確認は、単なる事務作業ではなく、**「企業の存続を守るための最重要リスク管理」**そのものです。
2026年の法改正により、私たち行政書士は最新のICT技術を駆使して、皆さまのオンライン申請やコンプライアンス管理を強力にサポートできる体制を整えています。在留資格の判断に迷った際や、管理体制の構築に不安がある場合は、ぜひ当事務所へご相談ください。

