在留資格と業務内容がズレていませんか?|不法就労を防ぐ実務判断

中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。

2026年(令和8年)を迎え、深刻な人手不足を背景に、多くの現場で外国籍の社員が不可欠な戦力として活躍されています。一方で、行政手続きのデジタル化やコンプライアンス(法令遵守)の要求は年々厳しくなっています。**2026年1月1日に施行された「改正行政書士法」**においても、私たち行政書士は、情報通信技術(ICT)の活用などを通じて皆さまの利便性を向上させ、業務の改善進歩を図るよう努めることが職責として明記されました。

外国人雇用において、経営者が最も注意すべきコンプライアンスの一つが、**「在留資格と業務内容の整合性」**です。「在留カードを確認して、就労可能な資格だったから大丈夫」と思い込んでいませんか? 実は、カードに記載された資格を持っていても、実際に任せている業務内容がその資格の範囲から外れていれば、企業側が「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。

今回は、2026年現在の最新実務に基づき、不法就労リスクを回避するための「業務内容の判断基準」を専門家の視点で解説します。


  1. 在留資格と業務内容の「切っても切れない」関係日本の入管法において、在留資格は単なる「滞在許可」ではなく、「日本国内でどのような活動(仕事)をしてよいか」というライセンスです。

例えば、多くの企業で活用されている**「技術・人文知識・国際業務(技・人・国)」**という資格は、自然科学や人文科学の分野に属する専門的な技術や知識を必要とする業務、あるいは外国の文化に基盤を有する思考を必要とする業務(翻訳・通訳等)に従事することを前提としています。

したがって、どれほど優秀な外国人を雇用していても、その方が従事する業務がこの定義に当てはまらなければ、法的には「資格外活動」となり、不法就労に該当してしまうのです。


  1. 実務でよくある「NG事例」と判断の落とし穴行政書士として相談を受ける中で、特によく見られるミスマッチのケースを整理します。

① 「技・人・国」なのに現場での単純作業がメイン

エンジニアや通訳として採用したにもかかわらず、実際には工場の製造ラインでの単純作業や、店舗での清掃、棚卸し、梱包作業などが主たる活動になっているケースです。これらは「技・人・国」の活動範囲には含まれません。

② 「研修(OJT)だから」という誤解

採用当初の業務習熟のために、現場で一定期間の実務研修を行うこと自体は認められます。しかし、その期間が在留期間の大半を占めるような場合や、専門的業務へ移行する明確な計画がない場合は、不適切な雇用とみなされます。

③ 転職者の「前職と同じ」という思い込み

中途採用した外国人が「前の会社でも事務職だった」と言っても、自社での具体的な職務内容(例えば、単なる伝票入力なのか、高度な貿易実務を伴うのか)によっては、入管から否認されるリスクがあります。雇用先が変わる際は、常にゼロベースでの確認が必要です。

④ 採用後に業務内容が変わっている

当初は専門業務として採用したものの、現場の都合で徐々に単純作業へシフトしてしまうケースです。このような場合、当初は適法でも、実態次第では資格外活動と判断されるリスクがあります。


  1. グレーゾーンをどう判断するか:「主たる業務」の考え方実務上、全ての業務が100%専門的であることは稀でしょう。判断のポイントは、その外国人が行う活動の**「主たる内容」**にあります。

許容されるケース:

専門的業務を行う傍ら、コピー取りや電話応対などの付随的な事務作業を行うことは問題ありません。

不許可となるケース:

一般的なサービス業務や製造業務、単純労働が活動の大部分を占めている場合、在留資格の該当性は否定されます。

「その業務を遂行するために、大学卒業程度の専門性が求められるか」が重要な判断基準となります。


  1. 2026年3月からの重要変更:派遣形態での就労の厳格化特に注意が必要なのが、派遣会社を通じて外国人を雇用する場合、あるいは自社が派遣元として外国人を送り出す場合です。2026年(令和8年)3月9日より、派遣形態での就労に関する運用が大きく変更されました。

派遣先の確定が必須:

申請時点において派遣先が確定していない場合、在留資格の許可を受けることができません。

派遣先への直接確認:

在留審査の際、入管当局は派遣元だけでなく、派遣先に対しても業務内容や活動状況について直接確認(実地調査や事情聴取など)を行う場合があります。

責任の所在:

派遣先において在留資格の範囲外の業務をさせた場合、派遣元・派遣先双方において責任が問われる可能性があります。


  1. 安全に雇用を継続するための「3つの実務対応」法的リスクをゼロにし、健全な経営を維持するために、以下の対応を推奨します。

① 「就労資格証明書」の積極的な活用(最重要)

転職者を採用する場合や、自社の業務に適合するか不安な場合は、本人を通じて**「就労資格証明書」**の交付申請を行ってもらいましょう。これは、当局が「この業務なら現在の資格で問題ない」と公的に証明する書類であり、企業にとって最強の防御となります。

② 業務内容の事前整理と「雇用理由書」の作成

任せる業務を細かく書き出し、それがなぜその方の学歴や職歴と結びつくのかを言語化します。審査においてより具体的な説明が必要と判断された場合、これらの詳細な説明資料の提出が求められます。

③ 記録の保存とICT管理

2026年の法改正により、私たち行政書士はICTを活用したスピーディーな管理をサポートしています。採用時の在留カード確認結果、就労資格証明書の写し、派遣個別契約書などをデジタルデータとして適切に保存し、いつでも提示できる体制を整えましょう。


まとめ:正確な判断が「企業の信頼」を支える

特に転職者採用では、この確認を怠ることが最も多いリスクポイントです。

「不法就労助長罪」は、知らなかったでは済まされない重いペナルティ(3年以下の拘禁刑、若しくは300万円以下の罰金)を伴います。しかし、正しい知識を持ち、適切な手続きを踏めば、外国人財は貴社の成長を支える強力な翼となります。

2026年、入管の実務は「実態の整合性」をより厳格に問う方向へ進化しています。

「この業務内容で本当に大丈夫か?」

「最新の派遣ルールに自社が合っているか確認したい」

そのようなお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ最新の法務知識を備えた当事務所へご相談ください。

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