外国人社員が在留カードを偽造していた場合の会社の対応【2026年版】
中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。
精巧に偽造された在留カードを用いた不法就労トラブルが後を絶ちません。「本人から提出されたカードを信じて雇っただけなのに」という経営者の声をよく聞きますが偽造を見抜けなかった過失は企業に重い法的責任を招きます。今回は偽造発覚時の対応と事前確認方法を解説します。
1. 在留カード偽造の現状
かつての偽造カードは粗悪なものが多かったですが2026年現在はホログラムや透かし・券面の質感まで本物と見分けがつかない精巧なものが流通しています。
入管庁は「在留カード等読取アプリケーション」の提供や第二世代在留カードの仕様公開などセキュリティ強化を進めています。しかし受け入れる側の企業が確認の仕組みを持っていない限りリスクをゼロにすることはできません。
2. 在留カード偽造を見抜くための3つの事前確認
① 在留カード等番号失効情報照会(Web確認)
入管庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」でカードに記載された在留カード番号と有効期限を入力することでその番号が失効していないかを照合できます。
ただし公式サイトに重要な注記があります。「問合せ結果は在留カード等自体の有効性を証明するものではありません。実在する在留カード等の番号を悪用した偽造在留カード等も存在するため問合せ結果にかかわらず在留カード等読取アプリケーションや偽変造防止対策についてもご確認ください」とされています。
② ICチップの読み取り(在留カード等読取アプリケーション活用)
在留カードにはICチップが内蔵されており氏名・写真・在留資格・就労制限の有無などのデータが記録されています。入管庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を使用しチップ内のデータと券面の印字が一致するかを確認します。これが現在最も確実な偽造判別法です。
③ セキュリティ機能の目視チェック
見る角度によって色が変化するホログラムなどのセキュリティ機能を確認してください。入管庁の「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方ページで確認できます。
3. 偽造が発覚した場合の対応手順
就労の即時停止:偽造カードでの就労は不法就労となります。発覚した瞬間から働かせることは不法就労助長罪のリスクを増大させます。
事実確認と証拠保全:本人に事情を聴取しますが無理に身柄を拘束するような行為は避けてください。提示されたカードのコピー(表裏)と採用時の書類を確実に保管します。
専門家への相談:入管へ直接出向く前にまずは専門家に相談してください。
入管または警察への連絡:偽造が明白な場合は管轄の地方出入国在留管理局または最寄りの警察署へ通報します。
4. 会社が問われる法的責任(不法就労助長罪)
入管法第73条の2に定められた「不法就労助長罪」の罰則は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはその併科です。
「知らなかった」は通用しません。カードの原本を確認していなかったり不自然な点を見逃していたりした場合は「過失」があるとして処罰の対象となります。
代表者申告書への影響
カテゴリー3・4の中小企業は2026年4月15日より「所属機関の代表者に関する申告書」の提出が義務化されました。代表者が外国人の場合はその氏名と在留カード番号の記入が必要です。
5. 採用時の偽造防止チェックポイント
在留カードの「原本」提示を徹底:コピーや写真データでの確認は厳禁です。必ず目の前で原本を確認してください。
就労制限の有無を「裏面」まで確認:表面だけでなく裏面の「資格外活動許可欄」も確認します。許可印がなければ週28時間を超える就労は不法就労となります。
確認結果の記録保存:番号失効情報照会の結果をスクリーンショットで保存しておくことで万が一の際に会社としての注意義務を果たしていた証拠になります。
6. 実務対応チェックリスト
□ カードの原本を本人の前で直接確認したか □ 入管庁の「在留カード等番号失効情報照会」で失効していないか照合したか □ 在留カード等読取アプリケーションを使用しICチップ内のデータと券面が一致するか確認したか □ パスポートの原本と照合し生年月日や国籍に不整合はないか □ 就労制限の有無を裏面まで確認したか □ 確認結果をスクリーンショット等で記録・保存したか
まとめ
在留カードの偽造は外国人本人の犯罪であると同時にそれを見抜けなかった会社にとっても経営の存続に関わる重大なリスクです。「このカード少し怪しいがどう判断すべきか」「採用時の確認マニュアルを見直したい」という経営者様は、お気軽にご相談ください。

