外国人社員が行方不明になったときの届出と対応【2026年版】

中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。

外国人社員を雇用していると、ある日突然、連絡もなく出社しなくなり、寮からも姿を消してしまう……。こうした「行方不明」の事態に直面し、困惑される経営者様も少なくありません。

外国人社員の失踪は、単なる労務上の問題にとどまりません。出入国在留管理上の重大な事案であり、「何もしない」こと自体が、企業にとって将来の受入れ停止を招く致命的なリスクとなります。

今回は、社員が行方不明になった際に会社が取るべき法的対応を、正しい手順で解説します。


1. まず最初にやるべきこと:安否確認と警察への届出

社員が姿を消した際、まずは「事件や事故に巻き込まれていないか」を確認することが雇用主として最初の行動です。

初動の連絡:本人への電話やSNS、寮の同居人への聞き取りを速やかに行います。

居住地の確認:寮や社宅の場合、管理者の立ち会いのもとで部屋を確認します。パスポートや在留カード、貴重品まで持ち去られている場合は、意図的な失踪の可能性が高くなります。

警察への「行方不明者届」:事件性の有無にかかわらず、速やかに最寄りの警察署へ届け出てください。万が一その社員が他所で不法就労を行ったり、犯罪に関与したりした場合に、会社が捜索を行っていたという客観的な証拠となり、不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われるリスクを回避するための重要な防衛策となります。


2. 入管への届出義務(入管法第19条の17・14日以内)

外国人社員を受け入れている機関には、その活動状況を把握し、異変があれば届け出る法的義務が課せられています。

届出の根拠と対象:「技術・人文知識・国際業務」等の就労資格を持つ中長期在留者を受け入れている機関は、入管法第19条の17に基づき、その者の受入れ終了について届け出なければなりません。

14日以内の原則:行方不明によって雇用契約の維持が困難と判断し、解雇や契約解除の手続きを行った場合、その事由が生じた日から14日以内に届け出ることが求められます。

届出方法:出入国在留管理庁電子届出システム(I-ENS)によるオンライン届出のほか、郵送・窓口持参でも対応可能です。


3. 特定技能の場合の追加対応:「受入れ困難に係る届出」

「特定技能1号・2号」の外国人が行方不明になった場合、通常の届出に加え、より厳格な報告義務が発生します。

受入れ困難時の届出:特定技能所属機関は、外国人の受入れが困難となったことを知った日から14日以内に、管轄の地方出入国在留管理局へ「受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号)」を提出しなければなりません。

様式の記入方法:届出書は選択式の様式です。「届出の事由」欄で「特定技能外国人の都合」を選択し、事由発生日(行方不明が判明した日)を記入します。なお、退職日ではなく「行方不明が判明した日」が起算点となる点に注意が必要です。

入管による確認事項:本人との連絡の可否や、失踪に至る前の勤務状況、賃金支払いに問題がなかったか等を確認されます。日頃の支援記録や面談記録(3か月に1回以上)を整理しておくことが重要です。


4. 残された荷物・給与・社会保険の処理

行方不明後の事務処理においても、法令遵守が求められます。

残された私物の扱い:本人の荷物を勝手に処分することは、後の民事トラブルを招く恐れがあります。一定期間保管し、必要に応じて家族へ連絡する等の対応を検討してください。

未払給与の取り扱い:最後に働いた分までの給与は、本人の口座へ振り込むか、受領されるまで適切に管理する必要があります。「いなくなったから払わなくてよい」という判断は、入管から「失踪の原因(賃金未払い)」と疑われる要因になります。

社会保険等の資格喪失:雇用関係の終了が確定したら、速やかに健康保険・厚生年金・雇用保険の資格喪失手続きを行います。住民税の特別徴収についても、市区町村への異動届出を忘れずに行ってください。


5. 実務対応チェックリスト

  • 寮や居住地の状況を確認し、在留カード・所持品の有無を把握したか
  • 警察署へ「行方不明者届」を提出し、受理番号を控えたか
  • 入管法第19条の17に基づき、14日以内に契約終了の届出を行ったか
  • 特定技能の場合、行方不明が判明した日から14日以内に「受入れ困難届(参考様式第3-4号)」を提出したか
  • 支援記録・面談記録を整理し、適正な受入れを行っていた証拠を確保したか
  • 社会保険・労働保険の資格喪失手続きを完了させたか
  • 未払給与を適切に管理・支払い処理したか

まとめ

外国人社員の行方不明という不測の事態において、経営者様が最も優先すべきは「会社側に責任がないことを法的に証明し、二次被害を防ぐこと」です。

適切な届出を行わずに放置することは、将来にわたり外国人を受け入れられなくなるリスクを伴います。慌てずに正しい順番で対応することが、会社を守る最善策です。

「届出書の具体的な書き方がわからない」「実地調査が来たときにどう対応すればいい?」そのような不安をお持ちの経営者様は、ぜひConnect行政書士事務所へご相談ください。

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