外国人社員が在留期限切れで働いていた場合の会社の対応【2026年版】

中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。

日々の多忙な業務の中で「社員の在留カードの期限をうっかり確認し忘れていた」というケースが後を絶ちません。もし、貴社の社員が在留期限が切れた状態で働いていたことが発覚したら、どうなるでしょうか。

結論から申し上げれば、それは単なる事務ミスでは済まされません。経営者個人に刑事罰が科されるだけでなく、会社が将来にわたって外国人を雇えなくなる重大な経営リスクです。今回は、期限切れが発覚した際の正しい初動と、会社を守るための法的対応を解説します。


1. 在留期限切れに気づかず雇用してしまう背景

なぜ、真面目な経営者が不法就労の当事者になってしまうのでしょうか。「本人が更新したと言っていたから」「以前確認したときはまだ先だった気がする」といった本人の自己申告や記憶に頼った管理を続けていると、この落とし穴にはまります。

特に注意が必要なのは、「更新申請中」だと思っていたが、実は申請が受理されていなかった、あるいは不許可になっていたというケースです。申請さえ受理されていれば、期限が切れても最長2か月間は「特例期間」として適法に働けますが、申請自体を失念していた場合は、1日の経過でも不法就労となります。


2. 発覚したらまず何をすべきか

期限切れに気づいた瞬間、経営者が取るべき行動は以下の2点です。

就労の即時停止:疑いが生じた瞬間から、直ちに業務を停止させ、自宅待機を命じてください。「キリの良いところまで」と数時間でも働かせれば、期限切れを知りながら働かせたという故意の証拠となり、刑事罰の対象となります。

在留カード原本とパスポートの精査:本人を呼び、在留カードの原本を目の前で確認してください。表面の在留期間(満了日)を再確認し、裏面に「在留資格変更許可申請中」等のスタンプがあるか確認します。スタンプがなければ、在留申請オンラインシステムで申請履歴の有無を照合してください。


3. 会社の法的リスク:不法就労助長罪

経営者が最も自覚すべきは、「知らなかった」では決して済まされないという事実です。

不法就労助長罪(入管法第73条の2):期限切れの外国人を働かせた場合、雇用主には「3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金」、またはその併科という重い罰則が課されます。

善意の雇用主でも問われる理由:入管法では「在留カードを確認していない」などの過失がある場合も処罰の対象となります。経営者には、雇用する外国人が適法に就労できる状態にあるかを確認する注意義務があります。

この処罰を受けると企業の受入れ適格性が否定され、今後の外国人受入れに支障が生じる可能性があります。


4. 入管への対応

事実を確認し、期限切れが明白となった場合は、隠蔽せず以下の手順で対応します。

専門家への緊急相談:まずは外国人雇用に精通した行政書士に連絡してください。会社側のこれまでの管理体制を法的に整理した上で、今後の対応方針を検討することが重要です。

入管への自主的な申告:本人を連れて管轄の入管へ自ら申告します。隠蔽せずに誠実に経緯を説明することは、処罰の軽減を求める上での最大の防御となります。

契約終了の届出(入管法第19条の17):就労が不可能となり雇用契約を解除した場合は、14日以内に出入国在留管理庁へ受入れの終了を届け出なければなりません。


5. 本人の在留資格はどうなるか

期限切れで働いていた本人の法的地位は厳しいものになります。

退去強制手続き:原則として、日本からの強制退去の手続きが開始されます。

在留特別許可:日本での定着性や家族状況により、例外的に在留が認められるケースもありますが、不法就労の事実は消極的に評価されます。

いずれにせよ、現在の就労ビザをそのまま維持することは原則として不可能です。


6. 再発防止策:在留期限管理の徹底

在留カード原本の定期確認:コピーだけでなく、必ず原本を確認します。入管が提供する「在留カード番号有効性確認システム」を活用して有効性を照合することも有効です。

期限前のアラート管理:在留期限の3か月前から更新準備を始めるスケジュールを社内で共有してください。

マイナンバーカードの活用促進:オンライン申請には本人のマイナンバーカードが必要です。本人の協力体制を日頃から築いておくことが、迅速な更新申請につながります。


7. 実務対応チェックリスト

  • 雇用している全外国人の在留カード原本を今すぐ再確認したか
  • 在留カードの裏面を見て、更新申請中(特例期間中)であるか確認したか
  • 入管の「番号有効性確認システム」でカードが失効していないか照合したか
  • 在留期限の3か月前から更新準備を始めるスケジュールが社内で共有されているか
  • 期限切れが発覚した場合、即座に就労停止・専門家への相談ができる体制か
  • 雇用契約解除後、14日以内に入管へ届出を行える体制か

まとめ

在留期限の管理は、単なる事務作業ではありません。外国人社員が安心して日本で働き続けるための、経営者としての基本的な責任です。「知らなかった」の一言が、社員の人生を壊し、会社の信用を失うことになりかねません。

「うちの管理体制で本当に大丈夫か不安」「過去にヒヤリとする場面があった」そのような経営者様は、ぜひConnect行政書士事務所へご相談ください。

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