外国人採用で知っておきたい「就労資格証明書」とは?
中小企業の経営者の皆さま、こんにちは。
2026年(令和8年)を迎え、深刻な人手不足を背景に、即戦力となる外国籍の方の中途採用(転職者採用)を検討する企業が増えています。
しかし外国人雇用では、
「本当にこの人をこの業務で雇って大丈夫なのか?」
という不安を感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。
その不安を解消し、コンプライアンス(法令遵守)を確かなものにするための制度が、今回解説する 「就労資格証明書」 です。
今回は行政書士の視点から、この証明書の重要性と実務上の活用方法について分かりやすく解説します。
1. 就労資格証明書とは何か
就労資格証明書(Certificate of Authorization for Employment)とは、日本に在留する外国人が地方出入国在留管理官署に申請することで交付される公的な証明書です。
この証明書は、
「現在持っている在留資格で、その業務に従事することができるか」
という点について、法務大臣(出入国在留管理庁)が公的に証明するものです。
在留カードが「日本に在留する資格」を示すものであるのに対し、就労資格証明書は
「その資格でこの会社のこの仕事をしてよいか」
という業務との適合性を確認するための証明書といえます。
2. どんなときに必要になるのか(主に転職時)
就労資格証明書が特に重要になるのは、
**すでに就労可能な在留資格を持つ外国人を中途採用する場合(転職)**です。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ外国人を採用する場合、前職と同じ業務であれば在留資格の変更は必要ありません。
しかし実際には、
・前職と業務内容が異なる
・会社の規模や業種が変わる
・担当する業務範囲が変わる
といったケースが多くあります。
このような場合に、次回の在留期間更新を待たずに
「この業務は現在の在留資格で問題ないか」
を事前に確認できる制度が就労資格証明書です。
3. 企業側が取得するメリット
就労資格証明書の取得は法律上の義務ではありませんが、企業側には大きなメリットがあります。
① コンプライアンスの確認
入管当局から
「この業務内容であれば在留資格の範囲内である」
という判断を得ることができるため、企業としての法的リスクを大きく軽減することができます。
② 次回の在留期間更新がスムーズ
転職後に就労資格証明書を取得しておくと、次回の在留期間更新許可申請の際に、業務内容の審査がすでに行われているものとして扱われる場合があります。
そのため、更新申請が比較的スムーズに進む可能性があります。
③ 外国人社員の安心感
外国人本人にとっても、
「自分の仕事が在留資格の範囲内である」
と公的に確認されることで、日本で安心して働き続けることができます。
4. 取得しない場合のリスク
就労資格証明書を取得しないまま雇用した場合、次回の在留期間更新の際に問題が発覚するケースがあります。
例えば、
「実際の業務内容が在留資格の範囲外だった」
と判断されると、次のようなリスクがあります。
在留期間更新が認められない可能性
在留資格の範囲外の活動を行っていたと判断された場合、更新が認められず帰国を余儀なくされる可能性があります。
不法就労助長罪のリスク
さらに、在留資格に該当しない業務に従事させていた場合には、企業側が 不法就労助長罪 に問われる可能性もあります。
罰則は
・3年以下の拘禁刑
・300万円以下の罰金
・またはその併科
とされており、企業にとって大きなリスクとなります。
まとめ
外国人雇用では、
「すでに在留資格を持っているから大丈夫」
という判断だけでは不十分な場合があります。
転職などで業務内容が変わる場合には、
現在の在留資格でその業務が可能か
を確認することが重要です。
就労資格証明書は、企業と外国人双方が安心して働く環境を整えるための有効な制度といえるでしょう。
外国人雇用や在留資格の判断に不安がある場合には、専門家へ相談することでリスクを未然に防ぐことができます。

